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『オホーツクのホタテ漁業』西浜雄二著・北海道大学図書刊行会

オホーツクのホタテ漁業  オホーツク海、とくにサロマ湖近辺のホタテ漁業の問題点や現状を、歴史的な経緯とともに解説している。なんだ、専門書かというなかれ。オホーツクのホタテ貝が今日の地位を築くに至った背景にはさまざまな努力と偶然が隠されているのだ。

 そもそもサロマ湖は近年に至るまで、海とつながってはいなかった。網走寄りにわずかな湖口があるのみで、それも冬には砂で埋もれてしまい、春に村民総出で掘り返すということの繰り返しだったという。サロマ湖は広大な湖である。外洋への出口は湖の南端に一カ所のみ、湖の北側の村民にとっては不便なことこのうえなかった。

 そこで、北の村民が、砂丘の部分に新たな水路を掘り始めた。何回か失敗した後、1929(昭和4)年に現在の河口の開削に成功。それで、北はめでたしめでたしなのだが、今度は湖の水位が変わってしまい、本来の南側の湖口が土砂で埋もれてしまった。のみならず、外洋の冷たい海水の流入で、それまで、湖内の主要産物であった牡蛎が全滅してしまった。南側の村民にすれば、水路は塞がるわ、牡蛎は全滅するわで、ふんだりけったりである。いまだに南側の常呂町史には恨み節が書いてあるというが、ともかく牡蛎が全滅してしまったので、そこから外洋にいたホタテ貝に目を付け、ホタテの栽培漁業が始まったというわけ。

 このほか、ホタテ貝に不定期で大量発生する貝毒についての研究など、その原因を突き止めていくプロセスはまるで推理小説を読むようである。

 北海道、とくにオホーツク海に出かける時にはぜひ一読を勧めたい。どこの料理屋がうまいかだけをインプットしていくよりもまた違った「味」がある。きっと、かみしめるホタテから歴史が伝わってくることであろう。

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