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魂を揺さぶる昭和30年代展示
フローティングパビリオン羊蹄丸/青函ワールド(東京都)

フローティングパビリオン羊蹄丸

 航空機万能の「今」にあってはなかなか想像しづらいが、永らく“船”というものは「出会い」と「別れ」を、あるいは「人生」というものを想起させるアイテムであった。そのことは、出来のいいカラオケボックスで『津軽海峡冬景色』とか『マイウェイ』などをセレクトしてみると、船をモチーフにした映像に出会うことからもうかがえる。
 そんな“船”のひとつに「青函連絡船」がある。1988年に津軽海峡から姿を消したこれらの船は、スクラップにされたものもあったが、そのなかの一隻がここ、東京臨海副都心に浮かぶ。その名も「フローティングパビリオン羊蹄丸」「船の科学館」の一施設として、南極観測船「宗谷」とともに臨海副都心の桟橋で、パビリオンとして余生を送っているのだ。

楽しい!イルカのアトラクション 入場料600円なりを払って船内に入ってみる。船長の人形が人と海との関わりをとうとうと説教したり、10円玉でも入れなきゃいけないかと思わせるようなイルカのアトラクションなどが立ち現れるので、子どもだましの施設かと思ってしまうが、そうではない。この船には、「人生」の一断面ともいうべき、「時代」というものが詰まっているのである。

青函ワールド 青函ワールド

 では、この船一番の見どころ、青函ワールドに直行しよう。エスカレーターで階下に降りると、そこは青森の駅前。町並みがちょっとレトロなのは、「今」が昭和30年12月15日午前6時23分だからだ。ここの展示は小道具に至るまで、とことん時代考証がなされ、その当時にあわせているという。早速、その「時代考証」のお手並みを拝見といこう。
 まず、青森のストリートがある。両側には、商店が5、6件立ち並び、津軽弁と南部弁が飛び交う。

青函ワールド 建物の壁を見ると、ゴジラの看板。「青森東宝」の文字が輝いている。この看板は当時の復元だが、その下の貼り紙にも時代が反映されている。「理髪女師」という文字がいい。今なら「美容師募集」でおしまいだ。ほかにも「石炭練炭 大量入荷大安売り 佐々木商店」とか「豆腐見習 多数採用 住込20才前後 伊藤豆腐店」などが電柱や塀に貼ってある。
 給与設定などもそのまま再現されているので「下働女中 委細面談 月給四千円 高葉ホテル」というのを見れば、当時の給料がわかろうというもの。オロナインのホーロー看板や平和ストーブなんていう広告もあり、壁を見ているだけでも楽しめる。

青函ワールド 青函ワールド

 そのまま青森駅の中に入っていくと運賃表がまず目に止まる。初乗りは10円だ。料金もそうだが、「二等」「三等」の文字に時代を感じる。隣の売店に目をやると「鉄道弘済會」の堂々たる文字。「Kiosk(キヨスク)」ではないのだ、キヨスクは1973(昭和48)年に弘済会売店の愛称として登場したものだから、ここはあくまでも「鉄道弘済會」でなければならないというわけだ。
 ということは店頭も当時のままかな、と思いながら品揃えをみてみよう。

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