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タロとジロ、知られざる出生の秘密
稚内市青少年科学館(北海道)
稚内市青少年科学館

 日本最北端の地、稚内へ来たら、ノシャップ岬にも足を運んでみよう。バス停から紅白のしまの灯台を目指し北へ歩みを進めれば、利尻富士を望む岬のかたわらに、稚内市青少年科学館がひっそりと建っている。
 戦後の稚内は、南極観測隊の前進基地としての役割を果たしていた時期があり、南極でソリをひくカラフト犬を訓練していた。かつて話題になった映画『南極物語』は、1958(昭和33)年に悪天候のため南極に置き去りにされたこの犬たちの運命を描いたものだ。生還を遂げた兄弟犬タロとジロの話は周知のことだが、この科学館では、彼らの出生の秘密が赤裸々に公開されている。

タロ・ジロ・サブの木像  展示室に入ってすぐ左側のショーケースには、南極探検に関する当時の道具や文献、観測船の模型などが並ぶ。
 と、何やら三匹の子犬の写真や木像も陳列されている。じっくり見れば、「タロ・ジロ・サブの三兄弟犬」と書かれている。彼らの下には弟がいたのだ!

これがタロ・ジロ・サブだ!  すぐ隣の記事によれば、幼い頃から、結束の堅い三兄弟として注目されていたようだ。
 タロとジロの他に当時置き去りにされた犬たちの写真もある。各々の名前を確認するが、そこにサブの名はない。どうも彼は南極に行かなかったらしい。一緒に働いていた彼らの父親のクマも犠牲になっている。……なに、シロ?「タロの弟」だと? もう一匹、南極に渡っていた弟がいたのか!
犬ゾリをひくシロ  呆然としてかたわらのジオラマに目を移せば、剥製となって犬ゾリをひいている犬の名が「シロ」である。彼の遺体ははるばる南極から運ばれ、死してなお、故郷の地で働き続けているのか?
 ジオラマの説明文には“タロ・ジロと共に稚内公園で訓練を受けたシロです”とだけ記してある。タロ・ジロはその後、剥製になって各地を巡回し、2頭が会えば“再開”ともてはやされた。だが、シロはその間、ここでひたすら犬ゾリを引き続けてきた。涙なくして、見てはおれない。

稚内市青少年科学館  タロとジロはたくましく生き抜いて感動を与えてくれた。しかし彼らの栄光の影には、サブやシロのような弟たち、そして父親クマの存在があったことを忘れてはなるまい。
 さいはての科学館はそんな哀感を抱かせた。
  稚内市青少年科学館
  ■住所 北海道稚内市ノシャップ2-2-6
  ■交通 JR宗谷本線稚内駅よりバス15分

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