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北海道初の水族館の年季
市立室蘭水族館(北海道)

市立室蘭水族館

 1953(昭和28)年、室蘭市の鯨解体工場跡に北海道初の水族館として開館した。敷地は意外に広い。総面積2万3385平方mは横浜八景島シーパラダイス(1万8030平方m)や鳥羽水族館(1万7694平方m)を圧倒している。しかし、水槽の規模を示す総水量はたったの87トン。八景島1万2000トン、鳥羽6000トンとは問題にならない。実際、水槽展示はわずかにワンフロアーだけ。

市立室蘭水族館  ではこの敷地面積との差は、どこへいったのかというと、敷地の中にメリーゴーランドがまわり豆汽車が走っている。遊園地も併設しているので、そちらのほうの面積が含まれているのだ。『全国動物園水族館ガイド』(1992)には“メリーゴーランドは近郊では初めてのもので好評を博している”とある。さらには、魚籃観音や誰かの句碑まで建ち、さながらレジャーの幕の内弁当といった趣き。
 とはいえ、最近の遊園地に比べたら、デパートの屋上遊園みたいな規模だ。係員のおばさんがメリーゴーランドのところに行く→子どもがわらわらと集まってきてメリーゴーランドが動く→おばさんがこんどは回転チェアタワーのところに行く→また子どもが集まってきて遊具が動き出す、と至って牧歌的な光景だ。
市立室蘭水族館  ワンフロアーだけの水槽展示室にはいると、薄暗い室内の両側に水槽が汽車の窓のようにずらっと並んでいる。陳列という言葉がふさわしい初期の水族館スタイルで、ホタテの養殖方法などを示す展示が土地柄を表している。
アブラボウズ  この水族館のシンボルフィッシュはアブラボウズという魚。カジカ目に属する寒流系深海魚で、一番奥の大水槽の中を狭そうに泳いでいるが、最初からこんなにでかかったわけではない。
 なんと今から30年以上も昔の1969(昭和44)年に室蘭港の港口にある大黒島の周辺で捕獲され、当時は5cm程度の幼魚だった。それが1・5m、45kgにまで成長したのだという。
 同館では、日本で初めて飼育に成功し、現在、長期飼育記録を更新中。最近、他館でも飼育され始めているが、この記録はあと数十年、破られることはないだろう。さすが、北海道最古の水族館のシンボルフィッシュはだてではない。
アブラボウズの顔出し看板  このアブラボウズ、敷地内の随所にイラスト化されて点在しているので、オリエンテーリング気分で探しまわってみるのもいい。
 全国にそうは多くないと思われる魚の「顔出し看板」やら、誇らしげにはためくシンボルフィッシュの旗、さらには と思うような所に、実物よりもかわいい顔をしたアブラボウズが隠れている。
標本に囲まれた待合所  敷地に隅にひっそりとたたずむ古い外観の「待合所」も見逃せない。ベンチが並ぶ屋内には、ずらりと標本が並んでいるのだ。収蔵室に収まりきらなかったのか、マンボウだのペンギンだのが、標本になっている。
 これらのペンギンやアザラシの剥製を見ていると、歴代飼っていたもの全部が展示してあるのではないかという気になってくる。 など、幼くして亡くなったわけで、何となく不憫だ。
 外にでると、いつしか天気は小雨まじりとなり、トドのブォーッブォーッという鳴き声が響いてくる。歴史のある水族館にふさわしく魚にも展示物にも年季が入っていた。
  市立室蘭水族館
  ■住所 北海道室蘭市祝津町3-3-12
  ■TEL0143-27-1638
  ■開館 4月下旬〜10月中旬は無休。それ以外は休館
  ■入館料 300円
  ■交通 JR室蘭本線室蘭駅よりタクシー10分

  *追記 最長老のアブラボウズ(体長1.5m)は、2005年4月29日死亡。飼育記録35年8カ月はもちろん飼育下の最長寿記録。現在は後継のアブラボウズが泳いでいる。

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